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スマフォのためのUSB充電電源(モバイルバッテリー)の品質を暴く †
とっても便利なスマートフォン。私はSoftbankのiPhone 4Sと、DoCoMoのAndroid、 LG Optimus LTEを利用しています。2つももっているのは、両方の善し悪しを把握 したいから。
ところがスマフォは一般的に電池食い。どうやったら電池を長持ちさせるのかシク ハクしています。どうも共通話題のようで、あちこちのブログで見ます。
そこでモバイルバッテリーが活躍です。
電気屋に行くとそれこそ百花繚乱な様々な商品がありますが、実はいろいろと癖があります。iPhoneには充電ができなかったり、充電が妙に遅かったり、充電途中でスマフォがリブートを繰り返すのがあったり……。
ネットで調べると噂だらけです。○○はうまくいった。○○はうまくいかない。 良いような気がする、充電時間が早くなったような気がする……など。 そんな気がしてるだけじゃないの?と、疑わしいものもあります。 まぁ、結果、うまくいってるなら良いのですが。
裏付けがしっかりしてないとエンジニアリングオタクとしては、 モヨモヨした気分でいっぱいになってしまいます。 きもちわるいってことで、ちゃんと調べてみることにしました。
まず最初に、良いUSB充電電池(モバイルバッテリー)とはなにか?という定義付けをしてみました。
- ちゃんとスマフォに充電できること
- 相性があって、案外、うまくいかない物が多い
- ここで紹介するのはiPhone4SやOptimus LTEには対応しています

- 長〜く放電できること=容量が十分ある
- なるべく邪魔になりにくいこと=形、重さ
などなど。
当たり前のことばかりなのですがどれも重要です。 特に、容量に関しては、
高容量 ○○○○mAh 搭載!
など、たいていの製品には書いてあります。
大きい方が良いに違いない!と、見ればわかります。 しかし、本当に大きい方が性能が出てるのか、僕のスマフォで充電できるのか?などなど、悩み物です。
この数字で単純比較して良いのでしょうか?
電力の基本のき。 †
よくモバイルバッテリーに書かれているAhというのは、その電流を1時間流し続けられるという意味です。
たとえばリチウムイオン電池 3.7V/1400mAh搭載のモバイルバッテリーなら、単純計算で3.7V/1400mAを1時間流すことができるという意味になります。
充電容量を理解するには電力のことを知らなくてはなりません。
電力は下記の式で算出できます。
電力W(Wワット)=電圧V(Vボルト)×電流I(Aアンペア)
です。つまり、3.7V/1400mAhという電池は、
3.7V × 1.4 Ah = 5.18 Wh
5.18Whのエネルギーを持つことになります。
一方、単3充電電池のエネループはニッケル水素(NiMH) 1.2V 2000mAhなので、
1.2V × 2.0 Ah = 2.40 Wh
ということになります。
欲しい電源はUSB電源です。規格上、5V/500mAですから、ワット数に計算すると、
5.0V × 0.5A = 2.5W
です。2.5Wの電力を1時間流し続けるには2.5Whが必要です。
となると、単純計算で、
- 3.7V/1400mAhのリチウムイオン電池は5.18Whですから、
- 5.18Wh ÷ 2.5Wh = 2.072h = 2時間4分、つかえます。
- 1.2V/2000mAhのニッケル水素電池は2.40Whですから、
- 2.40Wh ÷ 2.5Wh = 0.96h = 57分、つかえます。
ということになります。
実際の回路のブロック図は、下記のようにDC-DC変換回路が入っていす。
この回路を通るときには電力のロスが必ずおき、これを効率といいます。
単純計算の理論値では効率100%なのですが、実際にはDC-DC変換器の性能からこの回路に使う電力、またケーブルのロス、充電に使うスマフォ側のロスなど様々なロスがおきて、これよりもずっと少ない値になるハズです。
ベンチマーク †
私は毎週出張するので、その時にモバイルバッテリーは必需品です。とはいえ、モバイルバッテリーばかりジャラジャラ持って歩きたくはないので、1つ持ち歩くならどれがいいのか?を考えながら、実際に手持ちのモバイルバッテリーで放電試験をして、良いバッテリーを探してみることにしました。
空になったスマフォを充電する時間で測定することも考えたのですが、スマフォの場合、外的要因で充電速度に差異が出てきてしまいます。そこで外的要因が少ない、次の回路を放電試験に使いました。
こんな装置です。
まぁ、本当はセメント抵抗が出す熱によって抵抗値は若干変わるんですが、スマフォを充電する時ほど高級な回路ではないので、ブレはそれよりは少なくなるはずです。
セメント抵抗の間にデジタルマルチメーター(テスター)をつけ、電圧を測定。PCに取り込みながら、電圧の変位を記録しました。
日本のメーカーが出してるモバイルバッテリーをベンチ †
まずは、日本のメーカーが出している下記の機種を試しました
- SANYO KBC-D1 with Eneloop 2000mAh
- SANYO KBC-D1 with Enelong 2100mAh
- SANYO KBC-L54D Eneloop モバイルブースター
- DoCoMo ポケットチャージャー01 Powered by Eneloop
- Linkage ACLD-04B
グラフは下記の通りです。横軸は時間、縦軸は電圧です。
どれも落ち着いていて4.7V程度を出力し、最後にストンと落下しています。DC-DC変換器を通してるので、想定内ですが。
個々の説明をしましょう。
SANYO KBC-D1 with Eneloop 2000mAh †
最初から自分が買った物じゃなくて恐縮なのですが(笑)、単三充電乾電池のEneloopが2本入ったモバイルバッテリーです。
スリムでスタイリッシュなので充電しながらスマフォと一緒にスーツのポッケに入れておくのにはGood。問題は1.2V/2000mAhの電池が2つだと単純計算でワット時が4.8Wh。そんなには期待できるエネルギーではありません。
持続時間は1時間17分。実際の出力側から計算した実効値は、4.7V^2÷10Ω×1.28h=2.83Wh。 つまり、効率η=2.83Wh/4.8Wh≒59%。 まーこんなところですかね。
SANYO KBC-D1 with Enelong 2100mAh †
上記のバッテリーケースに、BP社のEnelong 2100mAhの電池をつけてみました。 Enelongは2100mAhで、Eneloopよりもちょっとだけ大きいのが特徴です。
結果はほんの少し長く、1時間23分。
ちなみにEnelongはEneloopと同じく、自然放電しにくいタイプの充電電池です。 Eneloopでは1年後に90%程度の電力が残ると公称していますが、 Enelongは85%を公称値としています。
1年後の理論値は、
- Eneloop 2000mAh
- 2000mAh × 0.9 = 1800mAh
- Enelong 2100mAh
- 2100mAh × 0.85 = 1785mAh
ニッケル水素は、なんとなーく次の特性があります。
- 容量を増やすと……
- 放電が速くなる
- 充電回数が減る
- 重くなる
- 容量を減らすと……
- 放電が遅くなる
- 充電回数が増える
- 軽くなる
そういえば、一時期2700mAhのエネルギーを持つ単三のニッケル水素充電電池がでていたのですが、 充電すると2週間程度で放電してしまって充電したまま取り置きが全くできない何とも使いづらい電池になっておりました。
細かな技術革新で効率はちょっとづつ変わっているのですが、 まーこんな感じの特性があるのだなと思ってれば良いかと思います。
単三乾電池サイズでニッケル水素では、このぐらいのエネルギー密度だということでしょう。さらに余談ですが、単三乾電池サイズのリチウムイオン電池に14500というのがあります。概ね3.6V/750mAhぐらいのパワーなので2.7Wh程度。ニッケル水素が2.4Whなのでこのサイズだと、ほんのわずかリチウムイオンの方が電力を持っていると言ったところでしょうか……。
ニッケル水素電池については、ツイッターやFacebookで要望を頂いたら書くことにしましょう。
SANYO KBC-L54D Eneloop モバイルブースター †
Eneloopブランドをつけているわりに、リチウムイオン電池を利用しているモバイルブースターです。中に入っているのはSANYOの18650という大変メジャーなリチウムイオン電池。3.7V/5400mAhなので、3.7V/2700mAhの18650が2本入っているのでしょう。
18650は海外では充電電池のように普通に売っているのですが、日本ではリチウムの危険性もあって充電電池としては販売しておりません。このように組み込まれた形で売られています。ニッケル水素よりも軽くエネルギーがあるため、モバイル機器ではよく使われています。スマフォに入っている薄型のリチウムポリマーとほぼ同じような特性を持った電池です。
つまり、この商品は容量重視で作られたものだとわかります。
グラフを見るとダントツの6時間20分! 文句なしのパワーです。
容量で選ぶなら、これですかねえ。充電アダプタを持ち歩かないとならないわけですが。
DoCoMo ポケットチャージャー01 Powered by Eneloop †
DoCoMoのAndroid、LG Optimus LTEを買ったら付録で付いてきました。 付録で付いてくるということは、それだけAndroidの電池の持ちが悪いということ なのですが(笑)
たぶん、下記のEneloopのOEMだとは思うのですが、若干定格が異なります。
DoCoMoの方は3.7V/2500mAhに対して、純正のSANYOのは2700mAhです。
結果を見ると3時間3分。3.7V/2700mAh×2のKBC-L54Dの半分以下ですが概ねよろしい性能がでています。貰える物なので「良し!」でしょうか。
Linkage Infinity 2000 ACLD-04B †
私の一押しのLinkage Infinity 2000 ACLD-04Bです。
何が一押しかというと、この商品はACアダプタが一体化しているのです。
出張に行くとホテルで充電する機会が必ずあります。すると他のモバイルバッテリーのように、AC充電器が別だと2つの荷物を持ち歩かなくてはなりません。Infinity 2000だと直接コンセントから充電できるため、1つですみます。
コンセントにつなげながらUSB接続でスマフォを接続すると、内蔵のリチウムイオン2000mAhとスマフォの両方を充電してくれるという設計も便利です。これならホテルでスマフォと一度にモバイルバッテリーも充電できます。
USB端子が沢山ついているパソコンを持ち歩いているならば、スマフォもモバイルバッテリーもUSB端子につなげまくって就寝すれば良いのですが、僕のMBAは2つだけですから自力で充電ができるモバイルバッテリーはうれしいのです。
結果は、2時間37分。ちょっと使ってからベンチしているので新品ではもう少し多いでしょう。3.7V/2000mAhで考えると、SANYOのEneloopブランドの物ともそんなに効率は変わらないようです。そう考えると5000mAh版は、かなり期待ができるかもしれません。
実はこのシリーズ、850mAh→1400mAh→2000mAhと容量が増えていき、ここまで3つとも買っています。それだけ気にいっているのです。
最新機種は5000mAhの商品、Infinity 5000が出ています。
しかし、気をつけないとならないのは、こっちの機種はACアダプタが別ケースであることです。5000mAhのリチウムポリマー電池を入れたことで重くなってしまい別にしてしまったのでしょうけれど、そうなるとSANYOのエネループ・モバイルブースターと、完全にキャラが被り始めてしまいます。
個人的には2800mAhぐらいのリチウムポリマーを入れて、最大出力をiPad対応の2A程度にした方がいいのではないかなぁとか思ったりします。
残念ながら5000mAhの商品は持っていないのでここでベンチマークはできないのですが、もしも勢いでメーカーさんが送ってくれたら、喜んでベンチマークをして掲載します ;p
あきばおーで売ってる18650ケースで実験 †
やっぱりリチウムイオン電池はいいんだねってことで、「18650のリチウム電池を取り替えて使えるモバイルバッテリーなら結構いいんじゃないの?」と思い始めました。自作することも考えたのですが、そんな折りにあきばおーにて充電式USB2200mAhリチウム充電ケース+18650付きなど言う商品を見つけました。
実験は18650の電池を取り替えつつ行いました。
- 標準添付品の Li-ion 18650 2200mAh
- ヤフオクで買った Li-ion 18650 3200mAh
- UltraFire Li-ion 18650 BRC18650 4000mAh
- Thinkpadのバッテリをかちわった(使い込んだ) Li-ion 18650 D LH7M3A D95062(たぶん、SANYO UR18650FM L35A)。
- Thinkpadのバッテリをかちわった(使い込んだ) Li-ion 18650 CGR18650E(たぶんPanasonic)
- Thinkpadのバッテリをかちわった(使い込んだ) Li-ion 18650 C LF6M2C8 051581(たぶん、SANYO UR18650?? L26A)。
結果のグラフはこうです。全般的に安定していないのは、DC-DC変換器が良くないのでしょうね。
電圧のゆれが気になりますが、添付の専用ケーブルを使うとiPhone4Sでもちゃんと充電ができます。添付以外では結線の都合で使えませんが(笑)。それでも品質的には及第点でしょう。
添付の電池はまったくダメですが、ちゃんとした18650を持っていれば結構使えるのでは無いかと思います。サイズもペンタイプで手頃ですしね。
標準添付品の Li-ion 18650 2200mAh †
標準添付の2200mAhはちょっと驚きですね。たった57分です。なんと1時間も持ちません。
この充電電池ケースの具合が悪いんじゃないの?と最初は疑ったのですが、グラフの通り他の電池ではちゃんと性能が出ているので、この電池の問題でしょう。
半分ぐらいの容量しかないんですが……。
ヤフオクで買った Li-ion 18650 3200mAh †
どこの業者から買ったのかは敢えて言いませんが、3200mAhのバッテリーです。
3200mAhもあれば2700mAhのEneloop モバイルブースターよりも軽くて良いんじゃないの?と思って見たのですが……
結果は1時間50分。これもラベルの半分ぐらいしか動いてない気がします。
UltraFire Li-ion 18650 BRC18650 4000mAh †
これは知る人ぞ知るUltraFireのBRC18650 4000mAhです。 結構有名なので騙されることは無いと思ったのですが。
小型で1本で4000mAhもあれば相当Goodチョイスかと思ったのですが、 残念ながら2時間5分。
公称値の半分って、どこかで流行ってるんですかねえ……。
Thinkpadのバッテリをかちわった Li-ion 18650 †
Thinkpadのバッテリをかち割ってでてきたリチウムイオン18650です。 ばらしている時にショートなんかしたら大変なことになるので、まねをするのは本当にオススメしません。ものは使い込んだやつなので本当の性能はもっと上だと思います。
3本の結果は
- D LH7M3A D95062(たぶん、SANYO UR18650FM L35A)は、2時間10分。
- CGR18650E(たぶんPanasonic) は、2時間33分。
- C LF6M2C8 051581(たぶん、SANYO UR18650?? L26A)は、2時間41分。
SANYOが2つ、Panasonicが1つ。どれも日本の一流メーカーのバッテリーです。
どれも使い込んでいるものなので結構劣化はしてるのでしょうが、おそらく2000mA~2600mA程度のサイズのバッテリーじゃないかと思われます。ノートPCのは結構良い物を使ってるんですね。ちゃんとした性能が出ています。
新品ならもっともっと成績がいいのでしょう。
余談ですが、リチウムイオン18650、今現在(2012年頭)の性能だとだいたい2600mAh超える程度が普通の性能のようです。結局リチウムイオンは、日本メーカーの独擅場で、パナソニック(と旧サンヨー)、ソニーなどでだいたい市場の大半を占めてしまっているようです。
かれらの商品で3000mAhを超えた物を未だ手に入れることができないので、18650のサイズではそのぐらいのエネルギー密度だと考えた方がいいのかもしれませんね。
最近は薄型のリチウムポリマーに比重が傾いているからかもしれないのですが……。
日本製のリチウムイオンはやっぱりすごいってことで。
総評 †
まとめたグラフです。
だいたいワット数で計算をすれば、その通りぐらいのパフォーマンスがでているようです。
私的にはベストバイはこんなところでしょうか?
- 電池の持ちで選ぶなら
- SANYO KBC-L54D Eneloop モバイルブースター
- 利便性なら
- Linkage Infinity 2000 ACLD-04B
ってところでしょうか。
後はリチウムイオン電池の容量が増えれば、その分、重くなります。重さと容量を天秤にかけつつ選ぶと良いでしょう。また、上の中華リチウムイオン電池のように、公称の容量はあるのに実際の効率が少ないのもありますから、そこは注意が必要かも知れませんね。どう注意したら良いのか分かりませんが(笑)たとえば持ってみたら妙に軽いとか??? 鉛が入ってたらわからないですが(笑)
以上、他の商品が手には入ったらまたベンチマークして掲載したいと思います。
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