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Date: 2013/03/05 | | Tags: 急速充電, 充電電池, 電源, USB電源, USB充電池, iPhone, iPad, Android対応のモバイルバッテリー
「自分のニーズに合ったバッテリー」は選べていますか?
大きければいいわけじゃない。軽ければいいわけじゃない。自分に合ったモバイルバッテリーが選べるようになるために、コツを書いてみました。
いま販売されているモバイルバッテリーは大抵は充電電池(二次電池)です。だいたい、次の2種類のどちらかです。
ニッケル水素はエネループなどで使われる単三乾電池が利用されています。リチウムイオン型は、18650という単2電池よりもちょっと細くて(直径18ミリ)長い(65ミリ)の電池が使われているか、リチウムポリマーというガム型のような電池のどちらかが使われています。
左からエネループ(単3NiMH充電電池)、リチウムイオン18650電池、リチウムポリマー電池「3枚重ねセット」です。
ほとんどのモバイルバッテリーには、この3つのどれかが入っているため、それぞれの特徴を知っておくと、見ただけで大体どんな特徴のものかがわかります。そうなれば、見るからに怪しげな商品をつかむことはなくなるでしょう。中華電池は結構、怪しげなものがおおいですからね→iPhone,AndroidのためのUSB充電電源(モバイルバッテリー)の品質を暴く
ニッケル水素 エネループなど | 18650 | リチウムポリマー | |
---|---|---|---|
電圧(V) | 1.2V | 3.7V(3.6V) | 3.7V(3.6V) |
電流量例(mAh) | 2000mAh前後 | 2500mAh前後 | ピンキリ。上記写真は3200mAhx3枚 |
容量(mWh) | 2.4Wh前後 | 9.25Wh | ピンキリ。上記写真1枚あたり、11.84Wh |
形状 | 直径15ミリ程度、長さ45ミリ程度 | 直径18ミリ、長さ65ミリ | 板型。結構自由 |
重さ | 重い | 軽い | もっと軽い |
安全性 | 安全 | ちょっと危険 | もうちょっと危険 |
乾電池との取り替え | 可能 | 不可能 | 不可能 |
多くのモバイルバッテリーでは「○○mAh!」と書かれていますが、数字が大きい方が良いと鵜呑みにしてませんか?iPhone,AndroidのためのUSB充電電源(モバイルバッテリー)の品質を暴くでも書いたように、容量はアンペアだけではわかりません。あくまでも電圧とかけ算したワット時でしか効率は図れないので、ニッケル水素なら1.2V。リチウムイオンなら3.7Vをかけ算した値が、実際の容量です。
容量mWh = 電圧(V) × 電流・時(mAh)
法則1:容量は電圧×電流量(電流・時)で考える。リチウムイオンなら3.7V。ニッケル水素なら1.2V。
大は小を兼ねる。まぁそれも事実です。しかし容量が大きいものは「重い」のです。
たとえばモバイルバッテリーからiPhoneやAndroidへ充電を行うと、だいたい効率が7割ぐらいになります。
つまり、iPhone5の電池容量は1434mAhのリチウムポリマーで5.3Whの電力量なので、5.3W÷0.7≒7.6Wh。概ね、8Wh程度の電力量があれば、1回の満充電ができます。
1回だけ充電できればいいなら、2000mAhのリチウムポリマー(=7.4Wh)ぐらいあればOK。エネループの単三乾電池なら、1本あたり、2000mAh×1.2V=2.4Wh。4本で充電するモバイルバッテリーなら、9.6Whで満充電ができます。
ここで上の写真をもう一度みて下さい。
これらが同じぐらいの効率のものです。ニッケル水素4本は重く、一番軽いのはリチウムポリマーです。
18650は金属の円柱に包まれているので、リチウムポリマーよりもどうしても重くなってしまうのですが、お値段が安いという特徴があります。
となるとお勧めは必然的に、リチウムポリマーのものか、18650のものになるでしょう。
法則2:リチウムポリマーの薄型電池は、同じ大きさでも軽い。18650型は2番手。ニッケル水素は重く、乾電池型は容量が少ない。
ニッケル水素のものは電池の入れ替えが可能なことを売りにしているので、見れば直ぐにわかると思いますが、リチウムポリマーか18650はどうやって見分けるのでしょうか?
意外とわかりますよ?
これは、エネループブランドのモバイルブースターの小さい方です。
これはモバイルブースターの大きい方。二つ入っていることが想像できますよね?
2014年12月にCheeroからリリースされたモバイルバッテリー。高性能で定評があるPanasonic製の18650が4本入っていると思われます。
20,000mAhの激安のモバイルバッテリー。2500mAの電池が8本程度入ってるんですかね?
そしてこれは私が最近気になってるSONYのCP-F2LSAVP。どう見ても薄型を売りにしてるところをみると、リチウムポリマーですよね。18650だと製品にすると20mmにはなるハズですし。
一方、乾電池が簡単に手に入り入れ替えができるので、乾電池型の人気も根強くあります。しかしながら上記で書いたように、乾電池は電圧がリチウムイオンの1/3程度と低く、スマフォを半分程度しか充電できないことが多いのです。アルカリイオン電池などの一次電池の場合は大電流出力が苦手で、休ませつつやらないと旨く充電できないことも多く、利便性はかなり下がります。
法則3:容量が多いものは重い。少ないものは軽い。定格が大きいのに軽いものは怪しい(笑)
モバイルバッテリー自身の充電方法ですが、最近はほとんどUSBからの充電になりました。
USBの出力の基本は5V/500mAです。たった2.5Wしかないので、1時間でも2.5Whしか充電できません。実は、モバイルバッテリーには充電回路の効率が半分ぐらいのものもあるので、1時間で1.25Wh程度しか充電できないものもあるのです。そうなると7.5Wh充電するのにかかる時間は6時間。寝てる時間まるまるかかってしまいます。
USBの場合は急速充電できる仕組みもあるので、大抵付属の充電電源があると倍速で充電できるので、それが働くとだいたい倍ぐらいの速度で充電できます。→知らなきゃ損するiPhone,Androidの急速充電の秘密
この辺りを考えて利用ニーズを考えたいものです。
法則4:容量が大きいものは充電時間も長い。大きすぎると一晩で終わらない。
以上のことから生活スタイルを考えて、自分の持っているデバイスを外出先で何回充電したいのか、考え、丁度良いサイズのものを選ぶと良いでしょう。ちなみに、iPhone 6 PlusとXperia SX、iPad mini retinaを持ち歩いてる私は3.7V、7,000mAh〜10,000mAhの商品がベストマッチだと考えています。
法則5:大容量バッテリーならモバイルバッテリー自身の急速充電は必須。
どの電源アダプタで急速充電できるか知っておこう。わからなければ電源アダプタがついている商品を選ぼう。
大きなサイズのものは注意が必要です。
リチウムポリマーなら1セル(1枚のこと)で3000mAhを超えるものもありますが、18650だと1セル(1本のこと)、3000mAh程度が限界です(大容量をうたっているのに奮わない18650のベンチはこちら)。日本製で高いセルを選ばない限り、普通に流通しているものは2500mAh前後だと思っておいた方が無難です。ちなみに余談ですが、18650というと高輝度LEDライトでよく使われるのですが、かなりの数は表記よりもインチキサイズで、実際にベンチマークすると表示より容量が少ないものが結構出回っています。
となると大きなサイズのモバイルバッテリーは必ず沢山のセルを使うことになりますが、沢山のセルを使うと、壊れやすさは倍数で増えていきます。6本使っている物は当然6倍壊れやすいのです。
1本壊れたときにどうなるのか?それは、モバイルバッテリーが持つ回路によります。
一般に、リチウムイオン電池は並列でつなげてはいけません。なぜなら、1枚のリチウムイオン電池が破損すると内部抵抗が小さくなったりして、並列で繋げた他の電池からどんどん電気が流れ込むことがあるからです。電気に詳しくないとわからない?
たとえば、3杯のコップに水が溜まっていて、一番下が繋がっていたとします。
真ん中の水が一瞬で消えたら左右からどかどか水が流れてきますよね?
このときに流れる水が電流です。電流大きくなるとその分、熱を持ちます。並列で繋がったリチウムイオン電池は、1つが壊れると一気に壊れた電池に電流が流れ込むので、触れないぐらいの熱をもったり、燃えたりする可能性もあるのです。
この写真は並列でつないでいるダメな製品の例です。
一方、ちゃんと作られている電池の回路は一般的に個別に繋がっているか、直列で繋がっています。直列なら1つが壊れてショート状態になっても1つ分の電圧が下がるので、安全回路が働き、全く充電できなくなります。
そのためちゃんとした回路では、個別に充電したりして、制御をきちんと行うのです。
法則6:大きな容量のものは、セルを沢山持っている。セルが多すぎるものは、壊れやすい。
18650の形状のものなら2500の倍数で、何個入ってるかを考えて見るのも良いでしょう。
法則7:「一部の」中華なセルは定格表示より少ないものがある。
持ってみて妙に軽いものはダメかも知れませんね。とか言ってると、重しにナットがはいってたりするんですけどね・・・・(笑)
法則8:「一部の」中華なモバイルバッテリーは充電回路が怪しい。怪しいと最悪、(一般には)充電中に火が出るので注意。
どうして「一部の」中華バッテリーが半年で壊れるのか、なんとなくわかりましたか?
法則9: 高エネルギー密集物を持ち歩いていることを意識する。モバイルバッテリーは危険物だ。
大きなバッテリーをなるべく軽くするためにはもちろん、ニッケル水素よりもリチウムイオンがベストです。軽さで言うなら18650よりもリチウムポリマーの方が良い。ところがリチウムポリマーは裸では高容量で軽いのですが、18650よりも安全面で弱いため、その分、ケースを強化する必要があります。
しかし、昨今の大きなモバイルバッテリーは40Wh等と、ものすごい高エネルギーを小さな空間に密集しているのは事実です。つまりそれだけ、危険な物体を持ち歩いていると言うことを意識した方がいいでしょう。
USBモバイルバッテリーは、電池にDC-DC変換回路というものを通して、5V/500mAh〜3Aなどに変換して出力します。このDC-DC変換器の性能で、かなりの性能変化が出ます。だいたい粗悪品で50%〜60%ぐらいで、程度の良いもので80%越え、中には90%近くいく物もあります。
この数字はそのままモバイルバッテリーの容量に掛けて良い数字なので、性能の良いDC-DCを使えば、バッテリーの容量の見た目が奮わなくても、実際に使ってみると案外長持ちしたりします。
さらに一般に、DC-DC変換器は入力電圧が低いと効率が悪くなるので、元々、電圧が低いニッケル水素は不利になります。たとえば、エネループ KBC-D1は、単3エネループを2本しか使いません。2.4Vしかないので、5Vに昇圧するとその分、効率も下がります。逆に3.7Vのリチウムイオン電池を直列で2本設計したものは、7.2Vからなので降圧になりニッケル水素よりも有利です。
また、出力で一度に大電流を使う場合も効率が下がります。DC-DC変換器は弱くちょろちょろと使われるほうが効率がよくなるため、逆に低速充電で長い時間を掛けて充電したほうがモバイルバッテリーの出力効率があがります。最近は2ポート付きで、タブレットとスマフォを同時に充電できるものがありますが、こういうのは効率面では不利です。
法則10: 出力が大きいものは重い。そしてDC-DC変換回路の効率は機種によって、それなりに違う
大きい出力のものはヒートシンクが中に入っていたり、そもそもDC-DCコンバータのICが大きかったりして重くなります。また、効率も50%〜90%ぐらいのブレがありますね。
法則11: モバイルバッテリーから大電流を使うと効率がかなり下がる。長持ちさせたいなら、一気に充電するのではなく、ちょっとづつ充電がお勧め。
DC-DCコンバータの効率も、リチウムイオンバッテリーも、大電流を流すと効率がかなり下がります。したがってモバイルバッテリーを長持ちをさせたいという側面を重視するなら、少しづつの「低速充電」がオススメとなり、2ポート型の「タブレット+スマフォ同時充電」は、効率をかなり下げることに繋がります。
これは知らなきゃ損する、iPhone,Androidの急速充電の秘密に詳しく書いたのですが、出力アンペア数はスマフォ側が決めています。モバイルバッテリー側が決めているのは最大値だけです。たとえばiPhoneは5Sまで1A以上使うことはありませんしiPadも1.5A強です。ちなみにiPhone 6 Plusは私の実測では1.6Aまでつかって充電しました。Androidは機種によってまちまちですが、だいたい1A充電、ファブレットはちょっと多めのものもあります。
出力回路は確かに大は小を兼ねるのですが、あまりにも大きな電流をだせるものは、電圧が安定していなかったり、その分サイズも大きかったり、効率が下がっていたりします。そこを考えながら自分の持っているスマフォやタブレットを考えながら、丁度よいモバイルバッテリーを持ち運びたいものです。
法則12: 出力アンペアはスマフォが決めている。モバイルバッテリーが決めているのは最大値だけ。
以上。長々となりましたが、トレードオフを考えながら、良いスマフォライフを(笑)
ちなみに、私が今ほしいのはコレ(笑)です。薄いし日本メーカーなので充電回路も放電回路もしっかり作ってそうだから。
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